改めて言うまでもないことだが、インターネットは本当に便利だ。かぐや姫が貴公子達に求めた宝物って、イワツバメの巣と他に何だっけ、と思ってググると、即「仏の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」「火鼠の裘(かわごろも)」「龍の首の珠」そして「燕の産んだ子安貝(イワツバメの巣ではなかった)」
もちろん、調べたのには理由がある。消費税率アップをライフワークにしていた(はずの)知り合いの霞が関官僚。官民交流プログラムに基づいて民間企業に出向することが内定したとたん、その企業のショールーム巡りを始め、海外のフラッグシップショップにまで遠征し、にわかマーケティングマンに変身した。実は消費税担当の前は、別の部署で法人税削減に人生を捧げていたらしい。 「もしかして、アドレナリンさえ出せれば、目的は何でもいいんじゃないですか?」と皮肉を言うと、「そうですよ」と爽やかな笑顔を返された。あ、これは敵わん、と思った。 無目的型マンモス狩り。「マンモス」を狩りたいのではなく、狩れるものならなんでも、目の前に現れた獲物を反射的に追いかけて、アドレナリンを出すことに無上の喜びを見いだす。しかも彼の場合、それが反射的であることを自覚した上で、その無意識的行動を許容している確信犯。 「男らしい」男には、誰に何を言われようとも自分の信条を曲げずにやり通す「自己目的型」と、外から言われたことを(疑問を持つことなく)自分の目的と置き換えて速やかに遂行する「実は無目的型」がいる。 かぐや姫を射止めたい(これは明らかに気高い自己目的である)と思った男たちも、荒波に船出しているかいないかわからない龍を追いかけるとか、幾重にも連なる深山を超えて蓬莱にたどりつくとかいかにばからしい目的か、冷静に考えればすぐわかるはずなのに。それでも、目的を目の前に提示されると、つい反射的に本気になって命を賭けてしまう。それが困難でナンセンスであるほど、もしかしたらアドレナリンがいっぱい出るのかもしれない。 しかも、一度アドレナリンを出す快感を味わうと、アドレナリンを出したいが故にあえて困難な課題に果敢に取り組むようになる。かぐや姫がいなくても、アドレナリン放出が究極の目的と化す。「仏の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」「火鼠の裘」と「法人税削減」「消費税率アップ」「B2B2C商品マーケティング」が、重なってみえる。 その点女性は、自分が別にやりたくもないことを「目的」にする、なんて非論理的なことはしない。サラリーマンの世界で女性が出世しにくいのは、そのせいかもしれない。営業から管理部門に行って人事を経験して本社経営企画、なんて支離滅裂な経歴を粛々と受け止めないと「ゼネラリスト」にはなれません、なんて笑止千万。ましてやアドレナリンなんて頻繁に出してたら、身体に負担がかかってしょうがない。早死にするだけでしょう。
by miltlumi
| 2010-08-08 10:38
| マンモス系の生態
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