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ニッポン株式会社

 ワールドカップを例に出すまでもなく、グローバルスタンダードの重要性は21世紀に必要不可欠な心得である。海外赴任が当たり前になり、企業内で英語が飛び交い、肌の色のちがうインターンを受け入れる。ニッポンの会社もインターナショナルになったものだ。とはいえ、どっこいまだまだニッポン株式会社的な風習は廃れていない。

 また聞きなので真偽のほどは定かではないが、最近聞いて笑ってしまった話は、世界に名をとどろかせている某優良メーカー。メーカーだから、当然生産管理は最重要業務であり、オンタイムデリバリーと在庫最小化のため、毎日の生産台数調整は基本中の基本である。その重要な業務遂行にあたり、しかし、彼らは決して「日産XX台」とは言わないそうだ。「月産XXX台」は言うけれど。なぜか? 答え:ライバルの社名だから。 
 …日常業務で敵の名前を連発するなんて、縁起でもない、ということだろうか。そのかわりにひねり出した代わりの用語も聞いたのだが、あいにく忘れてしまった。そんなに敵愾心煽ってどうするんでしょう。ナマエ呼んだくらいで相手に負けるくらいなら、そもそも商品力がないんじゃないかと思うけど。
 「あったり前だ、オレ達の技術力や商品力やマーケティング力は絶対世界一だ」と言われそうだが、それでもなおかつライバル名を口にしないという精神的な鍛錬は、なんだかとってもニッポン的な気がする。

 世界的に有名な某電気メーカーでは、ライバル会社の名と同じ名字の人は、偉い人が出席する会議等でなんとなく肩身の狭い顔をしていたような気もする。でも、さすがに組織的にどうこうしていたわけではない。そのあたりの詰めの甘さが、昨今の業績にも関係している…わけはないか。そんなことしたら、労基署に駆け込まれちゃいますよね。
 
 こういう縁起かつぎは、ニッポン特有のものではないか。冒頭のような極端な例は別にして、どこの会社もやっているのが、新年の神田大明神へのお参り。社長以下役員全員が神妙にコウベを垂れて商売繁盛を願う。帰りがけに社員全員分の破魔矢とかだるまを買う。
 ニッポン国籍の証券会社のロンドン支店では、神田に行くために東京出張するわけにもいかないから、仕方なくウェストミンスター寺院に初詣に行っていたらしい。
 でもそれは前世紀末のことなので、今はもうやっていないかもしれない。それよりなにより、リーマンショックを果敢に生き抜いたその証券会社は、M&Aの結果外国人従業員比率が今や半分近くになっている。だるまに入れる目玉の色は、青とかグレイとか、特殊な墨を用意しているのだろうか。
by miltlumi | 2010-06-16 19:29 | サラリーマンの生活 | Comments(0)
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