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草食系の定義

 TVで「草食系」の若者vs.40代以上の討論番組をやっていた。「草食系」の典型としての振る舞いや考え方として列挙されていたのは;
 ・食べていけるだけの収入があればいい。別に金持ちになりたくない。
 ・役職(出世)に興味がない。
 ・会社が終わるとすぐにうちに帰る。
 ・仕事だけで1日が終わるのはいや。趣味が大切。
 ・「宅飲み」(自分で料理を作ってうちで飲む)が好き。

 …私、全部当てはまるんですけど。自分が草食系だなんて考えたこともなかった。
 でも確かに、「趣味に逃げたりしないで、仕事を楽しめばいい。仕事を楽しくするのは自分自身なんだから、『これでいい』なんて言わないで」とか言う、いかにもベンチャー取締役然としたおばさんの顔を見てたら、ゼッタイ反対側に座りたい、と思った。そりゃあアナタは仕事が楽しいかもしれないけど、楽しくない仕事に就かざるを得ない人だっている。自分の価値観を敷衍して他人に押し付けようとすること自体、どうかと思う。

 「モテなくてもいいし」という若者に対して、「そんなんじゃ子孫残せないでしょ!これまで何代も続いてきたアナタの祖先の血を次代につなぐ義務がある。このまま人口が減ったら、誰が日本を支えるの!?」とわめく作家にいたっては、番組を煽動的に盛り上げるために前もってプロデューサーから拝み倒された「ヤラセ」だと信じたい。
 「学ぶものがあるなら仕事帰りに先輩と飲み会にだって行きます。ただ愚痴きくだけで安くないお金払うなら、うちに帰ってネットで情報収集していたほうがいい。」その通り!最近私は、お友達だって愚痴になりそうな人よりは楽しく盛り上がれる人を優先している。

 「出世とかお金とか、どうして欲がないんでしょう」と司会のアナウンサーが間の抜けたつなぎを入れていたが、我々は(と、既に自分を草食系の一員に位置付けている)、欲がないわけではない。 高度成長期の画一的なお仕着せを「自分の」夢だと信じて頑張った企業戦士たち、及びそうしたオヤジの背中を素直に受け止めて、バブル期に「自分の」夢を追いかけたキャリアウーマンたちが、ステレオタイプ的に欲している物質に対して触手が動かないだけである。
 一番欲しいものは、アストンマーティンでもカルティエのタンクでもなく(と言いながら楽天市場で見たロレックスプレシジョンのアンティークはちょっと欲しかったかも)、「自由な時間」。
 もちろん、出世したい人はすればいい。でもそれが唯一の「正解」ってわけじゃないでしょう。仕事はあくまで収入を得る手段であって、人生の目的がジャズバンドだっていいじゃないですか。「それって逃げてる」って、何から? 

 「草食系」とは、「マンモス狩り」系だけが生きるに値すると狭隘に信じている生き物に対するアンチテーゼなのではないか。そもそも、肉食動物を1000頭養うには草食動物が1万頭くらい必要らしい。どちらが多数派かは明らかである。
by miltlumi | 2010-05-07 20:55 | マンモス系の生態 | Comments(2)
Commented by invox at 2010-05-07 22:56
私は自分を雑食系だと思っていますが、「それって逃げてる」という人たちこそ、自分自身から仕事に逃げているケースが多いような気がします。仕事をバリバリやって成果を出していれば、それで人間としてすばらしいのだという欺瞞を信じて、あるいは信じていると思い込んで。そうでない人たちを否定することで、自分の正当性を証明しようとしながら。
Commented by miltlumi at 2010-05-10 22:23
Invoxさん、コメントありがとうございます。「仕事に逃げてる」という観察、おっしゃるとおりですね。どうしてああいう人たちは、他人を否定することでしか自分の存在意義を主張できないのか、理解に苦しみます。椅子取りゲームじゃないんだから、人生の「正解」は人間の数だけあるのに。
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