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紙一重

 幼稚園の頃から朝食は基本的にトーストなので、食パンにはちょっとうるさい。6枚切りだとほんのちょっと物足りない。4枚切りだと分厚過ぎてトースターでうまく焼けない。だから、メゾンカイザーの食パンを愛用している。あそこの食パンは、1本2斤分を丸のまま売っていて、それを5枚・5枚に切ってもらえる。
 でも、たまに入りたてのバイトの人が切ると、端の耳のところがやけに分厚かったり薄すぎたりする。レジで差し出された袋の中身を透かし見て、少々の不揃いなら目をつぶるが、さすがに端が8枚切りより薄かったりすると、「あのお…」と言って切り直してもらう。通常食パン1斤は12cmなので、5枚切りは1枚2.4cmなのだ。それが1.5cm以下になるのはさすがに許せない。
 といっても、別にパン屋に物差しを持参しているわけではない。あくまで目分量。さすがにエコバッグから物差しを取り出すようになるとアブナイんだろうな、と自覚している。

 物差しといえば、靴箱のサイズが規格化されていないことが気にかかる。靴は夫々「名前」(「Bally黒エナメル」とか)を書いた靴箱に入れ、仕切り板を外した下駄箱にきっちり積み上げる整理法を採用している。履きたい靴の名前が書かれた箱をさっと抜きとると、上の箱はだだっと落ちる。名付けて「ダルマ落とし」方式は、しばらく履かない靴が下の方に沈殿して一目瞭然だし、誠に使い勝手がいい。ただ箱の幅がバラバラだとダルマ落としがスムーズに実行されない。高さも、高めな箱を2つ重ねたりすると、縦6足がきっちり入らない。従って、より適切なサイズの箱を調達してはそれに入れ替える努力が欠かせないのだ。おかげで最近は箱毎の差が1cm以下になった。
 ここまで揃うと、次は名前シールの位置とサイズが気になり始める。箱の左寄りと右寄りが混在しているのはまずい。右手に2.5cm×10cm、と統一すべきではないか。とそこまで考えて、「これ以上はヤバい」と自覚して思い留まる。

 なだいなださんのエッセイに、患者(彼は精神科医である)の中に、顔を洗うといった日常の行為の前に100とか1000とか数を数えないと気が済まない人がいるという話があった。一方、某大学教授は、講義に出かける前に庭の手水鉢に石を3つ投げ入れないと気が済まないそうで、3つ入るまでずっと学生は待ちぼうけを食うという。石が3つで留まっているから彼は大学教授でいられるわけで、4、5と増えて、200になったら病院に来るだろう。正気と狂気は紙一重なのだ、と書いておられた。

 食パンや箱の大きさがミリ単位になってきたら、私も病院に行った方がいいかもしれない。
by miltlumi | 2010-05-05 11:26 | 機嫌よく一人暮らし | Comments(0)
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