英国のブラウン首相の失言問題がTVで報道されていた。一般市民との対話の後でマイクをOFFにし忘れたのか、「It’s a disaster.」云々とつぶやいているのが公になってしまい、後でその女性のうちに行って陳謝した。平謝りに謝りながら「人は心にもないことを言ってしまったりするものです」と発言していた。
これって、どうなのだろう。フロイトを引用するまでもなく、「言い間違い」こそ人の本音を表す、というのは心理学の常識である。緊張の糸がふっと途切れた時、ふと口にするのは「心にもないこと」ではなく「本音」に決まっているではないか。私からしてみるとあんな「心にもないこと」言うヒマがあるなら、もっと真面目に謝ったらいいのに、と思う。 「ホンネとタテマエをきちんと使い分けて国民の信頼を勝ち得、『タヌキとキツネの化かし合い』のルールを肝に銘じて国際社会の地位を死守し、大英帝国の衰退を最小限にとどめるべき立場にある者が、こともあろうにマイクのスイッチを切り忘れるなどという、コトバを使い分ける以前の、誠に初歩的なミスを犯して、大変申し訳ありませんでした。これではダウニング街はおろかSIS(MI6って、ほんとはSecret Intelligence Serviceというそうですね)の採用試験だって足切りされてしまいます。足を洗って出直します」 でも、やっぱり、大本営発表としては、「言い間違いでした」で押し通さないと世論が収まらないのだろうか。国民も、どちらが本音かはよーくわかっているけれども、タテマエとして首相があのように陳謝することを想定しているのだろうか。それがお互いの暗黙の了解というものなのだろうか。 確かに、鳩山首相が谷垣自民党総裁の攻撃に対して「私は愚かな総理かもしれません」と発言したのには、さすがにずっこけてしまった。今や日本国民の過半数(以上?)が「この人だめかも」と思っているとはいえ、公の、しかも党首討論という仁義なきバトルの場で、自ら認めちゃうなんて。顔見知りの無口なバーテンダーがシェーカー振ってるカウンターで、学生時代からの親友と2人きりで飲みながらつい愚痴こぼす、という状況ならともかく。 …と、バカ正直に発言したらしたで、やはり国民は呆れ返るんだろう。 私もどちらかというと正直なほうだ。以前、社外の人に定期的にレポーティングする仕事をしていたとき、それこそ「本音」を言って下さるカウンターパートの男性に言われたことがある。「XXさん、もう少しうまくウソをつけるようにならないと」 TPOに応じて上手にウソがつけること。政治家だけでなく、社会生活を営む大人の心得なのだろうが、その技を修得しそびれてしまった大人は、どこで何をすればよいのだろう。
by miltlumi
| 2010-04-30 09:04
| サラリーマンの生活
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